彼女の思考はきっと俺には流れてこない。
彼女は優秀な人間だから、俺とは違って自分の「中身」を守る術を知っているに違いないからだ。
目には見えないバリケードみたいなものを漠然と想像しながら、俺は半べそ。
「中身」を守るどころかその中身さえ理解出来ていない俺が、全て流れでるのを阻止できるわけがない。
『似ていないね…』
父ちゃんの言葉。
『あの子の金髪は、私を責めてるみたい』
母ちゃんの言葉。
俺のすべてが流れてしまう。
『…みんな死んじまえ!』
や め て く れ よ 。
俺は彼女のその小さな掌に、怯えて半泣きになって。
逃げた。


