臆病なサイモン









キンパツ頭を舐めるような、無遠慮な視線が気持ち悪かった。

その裏にある中傷や興味が怖かった。

―――でも、そんなキンパツをした俺自身が一番、気持ちわりぃんだ。


俺はパズルで言えばあちこちパーツが抜けてる不完全なソレ。

しかも抜けたパーツは紛失しちまったわけじゃなくて、最初からナイっていう、異常事態に見舞われ中のパズル。

周りのやつらだってパズルだ。未完成のパズル。

人間はパズル。

なんてかっけえこと言ってはみるけど、最後まで揃わないパーツがあるなんて、切ないよな。


…けど、周りのやつらはどんなにバカそうに見えたって俺ほどパーツは欠けてない。

寧ろ日々の生活で、「空き」を新しいパーツで少しずつ埋めていけるような優秀なヤツばかり。

そんな周りのやつらに置いてけぼりを喰らう俺。

そんな俺、気付いたら他人を妬むのが素晴らしく得意なコンプレックスの塊になってた。

俺には絶対に勝てないやつらばかりで、毎日毎日気が滅入ってばかりだ。


―――周りに居る「黒髪の他人」が、こわい。