臆病なサイモン









「…テ、テレパシーを、信じてたんだ」

どもった。

かっこりいな!

じり、と沸き立つ入道雲が、俺をちっぽけにする。


ダンゴはなにも言わない。

笑いもしない。

その無表情ぶりに今日はちょっと感謝する。





「…テレビとかの、夢あるテレパシーじゃなかったんだけどさぁ」

小学校の低学年だったか高学年だったか。

今よりずっと世間知らずで世渡りが下手くそでバカだった俺は、なかなかクラスにもクラブ活動にも馴染めてなかった。

ただ、キンパツが目立つせいか周りが放っておかない。




廊下に出ればチラリ。

トイレで立ちんぼの時もチラリ。
…これは別の意図があった気がすっけど。

発音がめちゃくちゃな英語で話し掛けられてはチラリ。

全校生徒で集合する度にチラチラチラチラ…チンチラか!



―――集団生活において他人から好奇の目を寄せられるってのは、発展途上の俺にとって最悪の環境だった。

目立つのが好きなヤツならともかく、性格だけはシャイな日本人らしいとこがあって、たまに被害妄想入っちゃう、的な。