俺の心境など知らないダンゴは相変わらずの顔。
他意なんかきっとない。
ただそう感じたから口にしただけ。
不安がる自分に、必死になって弁解する。
理由を付けて、整理しようとして。
『サイモンくん』
…失敗。
―――だって、俺、頭ん中、読まれた。
それとも、口に出してたとか?
いや、待て待て待てよ、サイモン。そんなの有り得ねぇだろ?
ガチ、と一瞬震えた奥歯が鳴った。
衝撃で位置を変えたキンパツが鬱陶しい。
お前はなにも考えないでただダラダラ伸びてりゃいいんだからいいよな、なんて、ばか過ぎ、このキンパツ。
(…違うだろ、俺)
そうじゃねえよサイモン。
そうじゃねぇだろ、なぁ、ブラザー!
「…俺、昔さ」
気付いたら、声、枯れてた。
その様子にダンゴが顔を上げるのを横目で確認して、浅く息を吐く。
イカれた枠から絶対にはみ出したくない俺は、今から多分ちょっとイカれたことを口走る。
それを実行に移すため。
覚悟、決めるみたいに。


