臆病なサイモン








ぽっかり空いた目の前の空間に広がる青い空は、なにもかめひっくり返して吸い込んでなかったことにしちまいそうなまで高い。

それを影に隠れた視線で見ながら、俺、ちょっと「こう」、感じてたんだ。

先に出した浮遊感も孤独感も、勿論、あったけど。

ほら、なんていうか、「こう」さ…。


なんて言えばいいよ?
このジリジリと、ライターで炙られるような感覚。

上がり立つ煙と一緒に、なにか大事なものまで気化していっちまう。或いは帰化。



「こう」、なんていうか、さ。




「…なんか、寂しいね」




―――そうそう。




『さみしい』。


ぽつり。

誰も居ない世界に落ちた声は俺んじゃないよ。

ダンゴの高い、少しアニメっぽい声が屋上の風景に落ちた。

やる気なく膝を伸ばして、背中をコンクリの壁にくっつけながら。

乱れた団子頭が、アンニュイ。


『…寂しいね』

ダンゴは、今まさに俺が思っていたことを、ドンピシャでリアルにした。