臆病なサイモン









その横顔は、表情豊かとは言えないけど。




―――そうだよなぁ。


俺、まだダンゴのこと、なにも知らないけど。


『ダイジョブ』

髪の色ごときに不毛なコンプレックス抱いてるようなつまんねーやつの話を、いつもマジに聞いてくれる奴だってのは知ってた。



…なんかカッコわりくね、俺。

普通はさ、男が女の話を聞いてやるもんじゃね?

ブツブツ、それを愚痴ったら。


「…まぁ、それは石田ジュンイチに任せときなよ」

そう返ってきた。

回答がいちいち捻ってあってこいつカッケェ。

て、羨ましく思う、俺。

ダンゴはぼんやり空を見上げながら、ちゅーと甘い汁が滲み込んだ木の棒を吸ってる。

そのリラックスした雰囲気に、「隠し事聞き出しちゃおうぜ作戦!」はやめた。

今日は無粋だわ。

…諦めたわけじゃないけど。




ケータイの表示は十七時、ちょい過ぎ。



頭上は晴天。

今日はいつもより風が涼しいから過ごしやすい。

時間潰しには最高の日和だなーなんて、思わずのんびりしちゃう感じ。


遠くに聞こえる野球部の「カッキ―――ン」。


演出効果、抜群。