臆病なサイモン








それを不愉快げに眺めたダンゴが、浅く溜め息を吐く。

あ、俺、溜め息吐かれるの苦手かも。新発見。



「…だから、なにを言いたいわけ?」

やっと「だから」以外の言葉が出たと思えば、俺には厳しすぎるお言葉だった。

なにを言いたいのか、といわれても、…別になにもない。


(俺の話をダシにして、ダンゴの隠し事を引き出そう!)

なんて、甘かったか。

…甘かったよな。


カラオケの帰り、まるきゅーでダンゴを見掛けたのは一昨日。

居候の噂も時間稼ぎの真相も、まだなにも掴めていない。

いや無理に掴む必要なんかないんだけど。




「…今の話じゃ、ただサイモンが傷付きました、ってのしか、わかんない」

それを伝えたかったならそれでいいけど。


「…?同情して欲しいの?」

辛辣。

憐れみより訝しむ視線。

俺の真意が汲み取れない、と細い目が物語ってる。

こいつ、優しいのか性格悪いのかわかんねえ。


俺が口をつぐむと、ダンゴは首を傾げてからガリガリくんを舐めた。

視線は、シミを作ったプリーツに落とされてる。