ホンダはあのいつものニヤニヤ顔を浮かべ、蛇のようにねっとりと笑って見せた。
「…転入生、段このえは、前の学校でイジメられていた過去を持ち…、それが原因で、両親を亡くしている。段このえの陰険な性格が、彼女自身の両親を死に追いやったのだ…―――」
ダチが読んでいた文章をそのまま丸々復唱して、俺が止めた続きまで、さらりと言い放ちやがる。
ダンゴが、ゆっくりと下を向いた。
ホンダが読み上げた瞬間、廊下からのざわつきが大きくなる。
ダンゴの小さな体を、好奇だけに満ちた眼が、侵していく。
「これだけギャラリーが居るんだから、オマエにはもう友達はできないな」
痛みに堪えるように俯いたダンゴに向けて、突如現れたホンダは尚もそう言い放った。
「まあ、親を殺しちゃったカワイソーなこのえちゃんは、始めから友達なんて作る気はなかったみたいだけど」
―――え。
(ダチ作る気なかったって…どういう、意味、)
『俺、ダンゴとダチンコになりたい』
そんな甘ったれたこと考えてた俺を他所に、ホンダは更に続ける。
メガネの奥で、性悪がキラリと瞬いた。


