臆病なサイモン










「…悲鳴、近くなってきたね」

感化されて、半泣きかけてた俺に、ダンゴはニヒルな笑みを向けた。

肩に被っていたシーツを頭から被り直し、完全に「化かす側」に回る。

白い布から垣間見える細い眼が、ぎらりと輝いた気がした。


「どうせ「こっち側」なら、失(ピー)禁しちゃうくらいビビらせてやる」

それが「ホンダ」に向けられたものなのか、「ホンダ含む不特定多数」に向けられたものなのか、すでにビビっていた俺にはわからなかった。


『蘇ったサド伯爵がいま、夏のジャパンに蘇る…!』

身の毛も弥立つジャパニーズホラー!近日公開!

なんちゃて。

ダンゴ伯爵、ほんとコワイ。


そんなダンゴ伯爵が、うざい、と小さく吐き出す。



「…髪が邪魔」


ダンゴのトレードマーク。

ぎゅっ、とてっぺんに上げたられたお団子頭が、シーツに引っかかるらしい。

でもそれが盛り上がって、頭が妙に長い生き物に見える。

それがなんか、コワイ。



「いい感じに長いよ」
「ちびりそう?」
「ちびる」

てことで、これで決定。

俺も頭からシーツを被って、よっしゃスタンバイ・オケ。

びびらせっぞブラザー!