「親が死んで、引き取ってもらった先が、たまたま叔母さんちだったって、だけ」
無気力な声に、心臓をぎゅうっと掴まれた。
俺の身体の中で脈打っているエネルギッシュな塊は思いの外柔らかかったらしい。
スポンジみたいに握り潰されたそれが、痛い、すごく。
だってその言い方が、声が、全部。
(悲しい…)
気付いてる、ダンゴ。
たまたま、って、そんな言葉で修まる程度の意味じゃない癖に。
「…、」
からからに渇いた喉は、今、発するべき的確な言葉なんて吐き出さなかった。
ひやりとしたダンゴの内面を、彼女を覆う「白」が、まるで代弁しているように見えて、喘いだ。
「…ごめん」
謝ったのは、俺じゃない。
絶句した俺に気付いたダンゴが小さく肩を竦めて見せた。
笑顔でも、困った顔でも、ない。
真っ直ぐ俺の目を見て、真っ直ぐ発せられたそれに、俺は目を逸らせなかった。
―――逸らさなくて、良かった。
なんて、かっこわるいけど、心底から、そう思ったんだ。
だって、ダンゴの想いを、ちょっとだけ受け止められた気がしたから。
それがただの自己満足だとしても。


