臆病なサイモン










(まぁ、あんな陰気なやつの相手なんて、土下座されてもごめんだけど)

そう考えると、なんか不憫だ。

居候してるって言い方から、あんまり気を楽には出来てないみたいだし。


(…時間潰し、してるし)




『耳障りな方言使いやがって、チョーキモい』

しかもこんな物言いしかできない人間と、学校でも家でも顔を合わせてなきゃならないなんて、拷問。





「…ホンダって、ダンゴのなんなの?」


ダンゴの短い後れ毛を見てたら、無意識にそんなことを口走っていた。



あ。


(…やべ)


口走ってから、慌てて口を抑える。

しまった、無意識。

訊かない、って言ったのに。

ごめん、いまのナシ。

なんて、カッコつかなすぎて言えね。



―――だけど、ダンゴはその質問に不愉快を示したわけでもなく、「ホンダ」の存在自体が気に食わないと言うように片眉を顰めただけだった。

都市灯に照らされた淡い横顔の造型が歪む。

そして思いの外、ダンゴはあっさりと口を開いた。





「…疎遠の、イトコ」