ちまちまと、砂浜のような道に脚を取られながら、たまにダンゴに背中を圧されつつ、前に進み出している。
それを「成長」なんて大層な言葉でくくるつもりは、ハナッからないけど。
『サイモンさぁ、最近、付き合いイイよなッ』
ダチンコが俺の肩を叩いてそう言ってきたのは、つい昨日のことだ。
それがもう跳び跳ねてジャンプしてそのまま宇宙圏のシャトルぶち抜けちゃうくらい嬉しかったなんて、俺だけの秘密。
以前なら、そんなこと言われても鬱陶しく感じるだけだったかもしれない。
でも、今はちがう。
―――大した変化じゃねえけど、ちょっと俺の頑張り、聞いて、ブラザー。
とりあえず、初対面でコンニチハして握手してすぐさまダッシュして逃げる。
…なんてかっこわりぃ真似は、しないようにしてる。
なるべく、なるべく、ダチンコの「声」に耳を傾けて、今まで避けてきた「真面目な話」を、真正面から受け止めてみる努力を始めた。
…たまに堪えきれなくなって、失敗すっけど。
『スタートしたばっかじゃん。今はそれでいいんじゃない?』
って、ヒーローが言ってくれるから。


