翌朝、仏頂面のまま家を出ようとしたあたしに母が教えてくれた。

父が折れてバイトを許してくれたこと。

その代わり成績を落とさないことが条件だって。


あたしは家や学校以外の新しい世界に踏み出せることにわくわくした。

新しいことを覚えて、新しい出会いがあって、新しい時間が増える。

カラオケやショッピングとは違う楽しいことが、そこに待っている気がした。



あたしは早速学校から帰ったら、まずはドーナツ屋さんに電話をかけようと決めた。