ふざけ合う祐司と拓海。 それを楽しそうに見守る多喜さん。 多喜さんがあたしにそっと耳打ちをした。 「祐司、照れてる」 祐司が? まさか。 驚いた顔のあたしをよそに、多喜さんはクスクス笑う。 あたしはなんだかソワソワとした気持ちのままで、学校までの道を歩いた。 あたしが持っている祐司への気持ち。 友達に対するものとも、家族に対するものとも、それは違っている。 だけどその気持ちに名前をつけることは、まだできないで居た。