夢を見た。



ナツがいた。


私と熱海のホテルの部屋にいた。


私は、またナツに会えたことでうれしかったが、ナツは寂しそうに微笑むだけだった。


なぜ黙っていなくなったのかを尋ねたかったが、それをしてしまうと、今度こそ本当に会えない気がして、私は黙っていた。


「人には誰でも役目があるのよ」


ナツが言った。


私は何も言えずにいる。

ナツは長い髪をかきあげると、わたしを見て言った。


「私の光さんへの役目は終わったの」


私は首を横にふる。