教室に戻って、プリントを配って。 俺は屋上へ通じるドアの前に立っていた。 『昨日の場所』 って、ここだよね。 会長が持って行ってしまったピアス。 あれは姉のだ。 借り物だから…… 失くした、とられた、なんて言ったらどんな目に遭うか。 重い、灰色の扉を見つめた。 ……この向こうにある恐ろしさの方が、幾分かマシ。 ゆっくりとドアノブを回した。