教室の中には四人しかいない。


まだ始業まで30分もある。

まぁ、人が少ないのは当たり前か。


机の上にカバンを置いて、花音ちゃんのとなりの席を借りて座る。


「で、誰がこんな手紙を渡したと思う?」

「頼りになるのはこの文字だけ。いっそ筆跡鑑定でもしてみる?」

「でも、一体何人いると思ってるの?この学校に……」

「926人?」


……なんで全校生徒の人数なんて知ってんの……。


「まぁ生徒だけとは限らないしね」

「……先生?」


先生なんて入れたら1000人超えるじゃん。


「でも、“探して”って書いてあるってことは、その人自身は葵に自分を知ってほしいってことでしょ?」

「なんで探さなきゃならないの?会っちゃえばすぐ話せるのに」


謎が謎を呼ぶ手紙事件の犯人は誰か……。


「一度無視してみれば?」


ひそひそ声で言ってきた。