確か彼は言っていた。


“同じクラスになれたのに、無視されてるかと思ってた”って。


あの無口な秀平くんとこんな話をするのは、あたし以外にいないだろう。


「恋ちゃん、心配しなくていいよ」


一体誰がそんな噂流したんだか……。


「え……?」

「その時一緒にいたの、あたしだもん」

「……えぇっ!?」


12月の最初の頃、誰か見てたんだ。

でもあたし達は教室の奥の方に座ってたし、あたしは窓の方を向いて話していた。

相手が女の子ということが分かっても、誰だって所までは本当に知ってる人じゃなくちゃ分からないと思う。


あの階は二年生のクラスがある階だったから、たぶん先輩に見られてたんだ。


「葵ちゃん……だったの?」

「あの、えっと……あたし秀平くんのいとこと友達で、子供の頃に時々秀平くんとも遊んでたんだけど、あたしがすっかり忘れててね」