あたしの初恋は壊されたけど……。

准によって壊されたけど、今はそんなことだってどうでもよく感じる。


あの時がどうでもよく感じるほどに、あたしは今幸せ。

とても、嬉しいの……。


「……よかった。すごく嬉しい」


そう言って、あたしをギュッと抱きしめてくれた。


「柚縷に告白されてた時は、どうしようかと思った」


……え?

柚縷ちゃんに告白された時って……。


「き、聞こえてた……の?」

「聞こえてたも何も、しっかり俺に目を向けて挑発するように言ってたけど……」


あの声はちょっとかすれた声だったから聞こえないように言ってると思ってたのに、聞こえてたの……?

もちろん耳元で言われてたあたしには聞こえてたんだけど、まさか翼にも聞こえてたなんて……。


「あんな静かな部屋で小さい声で言ってたから、余計に耳を澄まして聴いちゃったじゃないか」