「頭を強打して、打ち所が悪くて、足が麻痺した。手は無事だったんだけど、助かったはずだったんだけど、ショックは大きかった」
その一つの事故が、柚縷ちゃんの人生を大きく変えたんだ……。
「しばらくは入院してた。足なんか飾りものみたいで、感覚なんかなくて、絶望した。この世の平等なんて言葉を疑った」
辛かったんだ、悲しかったんだ。
その辛さは本人にしかわからない。
でも、話している本人から伝わる、絶望感……。
「それでも笑っていられたのは、翼と花音のおかげだった。翼は毎日来てくれるし、花音は時々だけど、それでも嬉しかった。受験で忙しいはずだったのにね」
翼の方を向くと、彼は微笑んでいた。
嬉しかったんだね、顔にしっかり出てるよ。
優しい、温かい微笑みが。
「来てくれてた時に、翼に話していたんだ、葵ちゃんのこと」
「あたしのこと?」
「写真とかも見せちゃって」
う……は、恥ずかしい……。
小学生の頃のあたし、見られたんだ……。



