「……あ、ヤバいね。人増えてきた。この話はまたあとでしようか」


そうに笑いながら言う花音には余裕が見えます。

あたしには余裕なんてなくて、ただびっくりしすぎてしばらく花音の顔を見たまま固まっていました。


……だって、あたしこの一ヶ月間ずっと、今花音が言ったことで悩んでたんだよ……?





昼休みになり、授業はいったん休憩。

お昼を食べる場所をいつもと変えて、食べた。


その場所は、花音と初めてぶつかった日に、花音がびしょぬれで座っていた場所。

それは屋上への扉の前。


残念ながら、屋上の扉には鍵がかかっていた。


「……で、好きなんだよね?翼のこと」


直球に言ってくる花音。

あたしは、ゆっくりうなづいた。