「あれ…? 雪乃いたのか。」


今日は委員会だから、先に帰ってていいって言っておいたはずなんだけど…。

午前中の自分の言葉を思い出しながら雪乃にそう問えば。


「さっきまで凛の補習プリントのつきあいしてたの。」


そう言って、窓越しの空を背にして笑う。
その様子はまるで、オレンジ色の光が雪乃を包み込んでいるように見えた。


「…そっか。 俺はてっきり、雪乃が俺のことを待っててくれたのかと思ったのにな。」


そんな風にからかいながら雪乃に近づくと、雪乃は小さく笑みをこぼしたあと体を反転させ、窓の向こうに視線を投げた。