ドアを開くと、決して大柄でないアタシより、ずっと小さいおばさんが、アタシを見上げる。



「先日お電話させて頂きました、島本と申します」



島本、というワードに体がヒヤッとする。瞬時に、怯えたヒカルの翡翠色が頭を巡る。



「あの……輝さんは?」



「まだ、帰ってません。今日は多分、遅いと思いますよ」



アタシは、早く追い返さなきゃ、という気持ちでいっぱいだった。



「そうですか……分かりました。それなら、今日は帰ります。これ、つまらない物ですが」



おばさんはアタシに菓子折りを渡し、足音も立てず帰って行く。



あの人の目的は、なんだったんだろう。



ヒカルに会って、何がしたいんだろう。