「ヒカル、微妙に顔赤いけと。」



「うざっ……アンタごときに赤くなるもんか。ばーか」



軽く微笑んだヒカル。細まる、優しい翡翠色と、薄い唇の奥から少し覗いた八重歯の、白。



「その生意気な口、唇で塞いでしまおうか」



「ふん、エロヒカルが」



アタシは、近付くヒカルのオデコをペチン、と叩いた。



こんな些細な時間。ヒカルの微かに変化する優しい表情。



この時に、この瞬間に、アタシはヒカルの悲しい涙なんかいらないと思えた。



アタシを温めてくれるように、ヒカルをアタシが温めれるようになりたい。



それが、簡単なことじゃないとしても、そうしたいと思えるんだ、不思議と。