「少しは、落ち着いた?ほら、飲めよ」
「んー……」
二人分のコーヒーを入れて、アタシ達はソファーに座っている。
ヒカルの震えは止まったが、翡翠色の瞳は何かに怯え切って、濁った色に染まっている。
アタシは、ヒカルの右手を左手で優しく包む。
「ヒカル、無理すんな。アンタのそんな姿、調子狂うじゃん」
少しでもヒカルの心を和らげようと、冗談っぽく言う。これも、いつかヒカルがくれた言葉、だっけ。
「バーカ。アンタさ、そういう冗談ヘッタクソ」
「うっせーな」
アタシがそっぽを向くと、ヒカルは重ねてた手を指を絡ませて握った。
少し痛いくらいに、強く、強く。



