ヒカルは、アタシにトーストを渡してソファーに座る。アタシは立ったまま食べていた。



マーガリンの味が、口の中にほわん、と広がる。香ばしい。



「立ってるついでに、冷蔵庫のチューハイ取ってよ」



「朝からかよ……ハイハイ」



ヒカルは酒に強く、どんだけ飲んでも潰れないらしい。



だからって朝から飲んだくれかよ。だらしねー。



アタシから缶を受け取ると、ヒカルは何の前触れもなく、アタシを引っ張った。



「わっ!」



体勢を崩して倒れ込むと、耳元でヒカルが囁く。



「何、キンチョーしてん、の?」



「べ、別に」



その声がいつもより優しくて顔がカーッと熱くなる。