「苺、晩御飯にお寿司。早く帰るよ」



「あ、うん。……皆、じゃあ」



黙っていたヒカルが、いつの間にかアタシに近付いて、アタシの服を引っ張った。



なんか『帰るよ』って言葉、全く抑揚のない声なのに優しい。



「苺ちゃん、また語ろうね」



舞さんはなにやらニヤニヤしながら言う。



「あ、はい。そのうち」



アタシは舞さんに返事をして、ヒカルの後を追って階段を駆け上がった。



「……全く、アンタは世話が焼けるね。あーゆーの慣れてないんでしょ?」



もしかしてヒカル、アタシのこと助けて連れ出してくれたのかな?



その細長いスラリとした背中は、優しい何かが滲み出てるように感じた。