【完】ひとつ屋根の下で。

「ま、あれだ。“じめじめババア”ってのも当たりだけどね」



「糞むかつく。自分だってジジくさいくせに」



アタシはヒカルの胸板をグーでぽこっと殴る。手加減なんて全く無しに。



「いてっ!」



そのまま、アタシは両手でポコポコ、と叩き続ける。



「いたっ。苺、止めろよ」



ヒカルはアタシの拳を、温かくてでっかいその掌で、掴む。



「……あ」



その瞬間、アタシ達の顔の近さに始めて気がついた。



灰色掛かった翡翠色の瞳がめちゃくちゃ近いってか、ヒカルの自体顔ちかぁ。



やっぱり綺麗な顔立ちだ。アタシみたいにいびつなとこのない、怖いくらいに綺麗な顔。



その綺麗な顔には、翡翠の双眼があって、その瞳には、アタシのアホ面が映っている。