【完】ひとつ屋根の下で。

翌日、目覚ましのアラーム音なしで自然と目が覚める。



アタシは施設暮らしが長いので、体にスイッチがあるみたい。決まった時間に起きてたしな。



それを、体がちゃんと覚えてて、必ず6時には目覚めるようになってんだ。



軽く背伸びをしてリビングに移る。



「おはよ、ババア苺」



ヒカルはコーヒーを飲んで、なんか英語の本を読んでいた。いつものことだが。



「それ、何?」



「ん?洋書。アンタも読んでみる?」



や、ヒカルさん、アタシには読めません。



「アンタじゃ読めないよな」



アタシの心を読み取ったらしく、小馬鹿にしたような言い方をされた。



だけど、表情は柔らかいように見えるんだよね。不思議と。変なの。