【完】ひとつ屋根の下で。

「アンタは性欲強いみたいだけどね」



「別に。あれは女がうざいから一夜限り、みたいな。あいつら医学部と付き合えば自慢出来ると思ってるし」



だから毎回喘ぎ声のトーンが違ったんだ。



「まあ、女自体は嫌いでも、女の体は嫌いじゃないし。俺も男だから」



「ハイハイ。あっそ。アタシには一生かけてもわかんねー感情だよ」



男って皆そんな感じ。施設にもそういうこと言ってる奴がいたしな。



「さ、アタシは明日も早いし寝ようかな」



「アンタは真面目なガキか。……俺は自室に戻ってレポートでもしよ」



のそりっと立ち上がりすたすたと歩いて行く姿。



あのひょろ長い背中も、なんか嫌いじゃなくなったな、随分。