【完】ひとつ屋根の下で。

なんか、あまり人に自ら溶け込まないアタシだけど、ヒカルは不思議だ。



確かに存在感はあるんだけど、なんだか心地いい。うざったくない。



無愛想なんだけど、冷たいんだけど、なんかでっかくてあったかい。



マジ、草原みたいな奴。



「アンタってさ、人の顔凝視するクセあるよね。昔から?」



「あー……言われてみれば。気付かなかった」



でも、別に誰でもって訳ではないと思うけど。指摘されたの、初めてだし。



ヒカルの、翡翠色の日本人離れした瞳が、何故だかアタシの視線を吸い寄せるんだ。



ヒカルが、アタシの視線に答えるようにやんわりと瞼を撫でる。



「俺の目、一瞬引いたり物珍しそうに見ないのはアンタが初めて、かも」



そう言って微かに笑う顔も、なんだか心地良いから不思議だ。