「……ぐすっ。く、う、あぁ」



ぽろぽろと、熱い雫が落ちてはアタシのスーツに滲む。



人前で泣くなんて、小さい頃に何度かだけだし、こっ恥ずかしいのに、涙は頬を止めどなく流れていく。


ヒカルの頭に乗っていた手が、アタシの頬を伝う涙を、優しく拭った。



「やっぱ、アンタぶっさいく」



「なんだよ……煩い……っひ!」



ヒカルは、しゃくり上げながらも悪態をつくアタシに微笑を向けて、アタシの頭を自分の肩に優しく引き寄せる。



「まぁ……笑ってる顔は可愛い方だと、思う、かも」



意地悪なようで優しくて、冷たいようで暖かい。



いい奴なんだか、悪い奴なんだかわかんないよ。



だけどアタシは、ヒカルを、悪い奴だとは思えなくなっていた。