【完】ひとつ屋根の下で。

笹舟なんて、小学生くらいぶりに作るだろうか。上手く作れない。



「苺はぶきっちょだね。汚い船」



「うっせー。医者の卵だからって、少し器用なだけじゃん、ヒカルは」



イビツな形のアタシの船に対して、綺麗に出来たヒカルの船。なんかムカつく。



「ほら、流すよ」



「ん」



二人で、『せーの』で流した笹舟は、緩な川の流れに従って、ゆっくりと姿を消していった。



見送って、見えなくなった後、ヒカルが、静かに尋ねる。



「苺は、誰の為に?」



「父さんと、母さんかな。……生んでくれて、ありがと、ってね」



両親が、アタシを『愛の証』としてこの世に迎え入れてくれたから、アタシはヒカルを、こうやって愛すことが、出来たのだから。