仕事場に行き、武安おじさんに決めたことを言う。
「そっか……苺ちゃんの、あちらの家族だもんな。でも、この辞表は預かっとくよ。何時でも、戻っておいで」
「ありがとうございます」
アタシはお辞儀をして、物をまとめ始めた。
デスクに置いてあったものを、全てまとめ終わり、アタシは扉の前に立つ。
「突然のことですみません。お世話になりました。ありがとうございます」
普段は出さない、肺いっぱいに吸い込んだ空気と共に出した大きな声と、深いお辞儀。
「いってらっしゃい苺ちゃん!」
そんなアタシに、おじさんを始め、会社の人は拍手をくれた。
短い時間だったけど、アタシは、この空間も、大好きだった。



