「仕事前だから、要件簡潔に。要一兄は喋んの遅い」
アタシが受話器の向こう側に尋ねると、相変わらずワンテンポ遅れた優しい声が響く。
《いちごは、変わらず厳しいなぁ。……実はぁ、おばぁが、倒れてしまったんよ》
「おばぁが?容態は大丈夫?」
アタシを拾い、18年も世話してくれた穏やかなおばぁ。
確かに、もう80歳越してたけど、アタシが出て行ったのは3月で、まだ結構元気だったよな。
《今、おばぁも歳だし、何人かで集まって孤児院やるってなってんだぁ。だからいちごも沖縄に戻らねぇが?》
要一兄の突然の誘い。今のアタシは気持ちが揺らぐ。
ヒカルと一緒に居たい。だけどアタシが居なくなれば、ヒカルも島本さんに付きっきりになれるんじゃないのか、なんて思う。
アタシが受話器の向こう側に尋ねると、相変わらずワンテンポ遅れた優しい声が響く。
《いちごは、変わらず厳しいなぁ。……実はぁ、おばぁが、倒れてしまったんよ》
「おばぁが?容態は大丈夫?」
アタシを拾い、18年も世話してくれた穏やかなおばぁ。
確かに、もう80歳越してたけど、アタシが出て行ったのは3月で、まだ結構元気だったよな。
《今、おばぁも歳だし、何人かで集まって孤児院やるってなってんだぁ。だからいちごも沖縄に戻らねぇが?》
要一兄の突然の誘い。今のアタシは気持ちが揺らぐ。
ヒカルと一緒に居たい。だけどアタシが居なくなれば、ヒカルも島本さんに付きっきりになれるんじゃないのか、なんて思う。



