【完】ひとつ屋根の下で。

ヒカルは立ち上がり、アタシの頭を骨張ったでっかい掌で撫でた。



「出来るだけ、病院には通うから大丈夫だよ。そんな顔しないで」



それだけ言って立ち去るヒカル。



アタシに対して優しいことを言ってくれるのは、凄く嬉しい。



かそれが半分本音で、半分嘘だってことも、分かってる。



だけど、このままでいいのか?



闘病って、退院してからも大変なんじゃないのか?



アタシより、今は血が繋がってなくても、ヒカルにとってたった一人の『家族』の方に行ってほしい。



そうしないと、アタシはこのまま、アンタの優しさを独り占めしちゃうから。



そんなの、ダメ。ヒカルがいくらいいって言ったって、いいわけない。