【完】ひとつ屋根の下で。




島本さんの邸宅は、墓地から歩いて10分ほどのところ。古びてはいるが、立派な屋敷だ。



どこか淋しげな雰囲気で、今のこの島本さんの雰囲気に似ていた。



「夫は一昨年病気で亡くなりました。一人娘も結婚して、今じゃ私一人なんですよ」



こんなに大きな家で、一人ぼっちで暮らしてんだ、島本さんは。



アタシ達は、奥の洋間に呼ばれ、紅茶を出される。



ヒカルは、気持ち悪いくらいシュガーをじゃりじゃり、と紅茶に混ぜる。



アタシは香りを味わよううに、そっと口に含んだ。



ダージリンの、良い茶葉の香り。上品な味わい。会社の安い買い置きパックとは全然違う飲み物みたい。