「……行こう」



ヒカルの顔色が悪く、汗をかいているのは、きっと気のせいじゃないだろう。



あれだけの過去だ。覚悟もいるだろう。



そんな姿をアタシに見られたくないのか、ヒカルはさっさと車から降りた。



アタシも車を降り、ヒカルがリモコン式の鍵でドアを施錠する。



先を行くヒカルに、アタシは触れたらいけない気がして、後ろをそっと歩く。



砂利道の先、そこには小さな墓地がある。



ヒカルはその細長く、それを際立たせるようなジーパンを履いた足を、まるで魔法がかかったかのように止めた。



アタシはその背中を、黙ったまま見つめる。



見つめるしか、出来ない。許されない。