【完】ひとつ屋根の下で。

いつもの帰り、疲れてるのに、なんか気持ちが違う。



扉を開き、リビングに行くと、相変わらず訳わかんねー本を読んでるヒカル。



「おかえり」



「ん、ただいま」



いつもの抑揚のない、だけどあったかいヒカルの『おかえり』がアタシを優しく包む。



アタシは、部屋でTシャツ短パンに着替えると、リビングのソファーに腰を下ろした。



ヒカルは、芸術品みたいな綺麗な顔で本を読んでいる。



「ねー」



「んー?」



本を読んだまま、ヒカルがアタシに声をかけてくる。



アタシは不器用だから、本読みながら話すとか、絶対出来ねーだろう。



何気なくそう思っていると、何でもないように、ヒカルが言う。