【完】ひとつ屋根の下で。




その日は、すこぶる仕事に集中出来た。



なんて言うか、心のどこかでぐちゃぐちゃになってた糸が、少し解けた、かも。



「苺ちゃん、シュレッダーかけるのお願いしていい?」



「はーい」



こうして、忙しい日々を過ごすと、昨日の夜のちょっとした疲労感。



ヒカルに吸われた、アタシのちっぽけな優しさ。



帰るまでに、補充出来るかな?



まだ、ヒカルには、優しさを与えてやんないと。それがアタシの今の役目だから。



ふっと瞼を閉じたら、ヒカルの無愛想な顔と、優しげな翡翠色の瞳が頭に浮かんだ。



この温かい気持ちが、人を愛して想うってことなのかな。



まだ、アタシには理解出来ねー。でも。大事な、それは大事な気持ち。