「だいたい、これが全部。この間島本が来たのは、もうすぐ父の命日だし、墓参りに来いってとこだろ」
まあ、毎年のことだ。だけどまさか、ここにまで来るとは思わなくて、正直混乱した。
生き返る筈のない菜々子が、再び現れるんじゃないかって。
そんなこと、あるはずもないのに、臆病者な俺。馬鹿みたい。
こんなことを話された苺は、どう思っているんだろう。
俺はこの数分で何度目だろうか、苺の顔を伺う。
苺は悲しむでもなく、同情するでもなく、引くでもなく、ただ、あの黒目で真っ直ぐ俺を見つめ返して来た。
そして、こう言ったんだ。



