【完】ひとつ屋根の下で。

覚えているのは多分俺が呼んだであろう、救急隊員と警察が家にいたこと。



親父は菜々子を窒息死させ、自身も毒を飲み死んだ。



遺書が出たことから、一家心中ということで纏められた。



俺の頭の中には、ほとんど覚えていない親父の言葉だったけど、これだけは記憶に残ってるという言葉。



『……ヒカル、お前は生きて生きて、生き続けるんだ』



『お前が命をかけて守りたいと想う人が現れ、幸せに過ごせるまで。……俺にとって、そんな存在は菜々子じゃなく、ヒカルとヒカルの母さんだ』



『だから俺が、こいつを地獄の果てまで連れていくよ』



「……正直、父が亡くなった悲しみより、解放された安心感の方が強かった」



それだけ、心が、拒否していた。