「おい、涼。どうした?」 「あっ、いえ」 北野先生に声を掛けられて、俺は小走りで後を着いて行った。 「なんだ? ホッとしたのか? 嬉しそうな顔してるぞ」 あっ、マズイ。 北野先生は洞察力が鋭くて、ちょっと油断してると隠しておきたい事でも、すぐバレてしまうんだった。 「初日が無事終わりそうで、安心しました」 俺は階段を一緒に歩きながら、そう答えた。