「どうした?」 俺はわざと素知らぬ顔で声を掛けた。 「ううん、なんでもない。……あっ、これ」 美雪は我に返り、ジャケットを俺に差し出した。 それを俺が受け取ろうとすると、一瞬、『放したくない』と言う感じに、美雪がそれを、ギュッ、と握った。 ……おまえは熱を出して心細かった時、そうやって握ってたのか?