「うわっ、おまえ、ちゃんと換気しろよ。部屋の中、空気が濁ってるぞ」 俊夫は部屋へ入って来るなり、そう言って外気を取り入れる為、窓を開けた。 「ああ、わりぃ。……ちょっと、考え事してて……」 俺はそう言って、今、手にしていたタバコを消した。 実際には逆で、考えないようにしていた。 その為か、無意識にタバコの本数が増えていたようで、目の前の灰皿は、最初空だった筈なのに、今は溢れそうな程いっぱいになっていた。