「ん? 急にじゃないぞ。入口から声をずっと掛けてたのに、ずっと返事が無いから、てっきり美雪の得意技『必殺知らん振り』してるのかと思ったんだけど」 その言葉に、美雪は『えっ?』って感じの顔をした。 何をそんなに考えてたんだ? 「考え事してたんだ? 何、俺の事でも思い出してたのか?」 俺は冗談半分で言った……つもり、だったんだけど……。 ピクッ、と一瞬体が揺れた後、美雪の顔が赤くなっていった。