お前の勝手な都合で俺たちを振り回すな。


「利琥…これからも中庭にはちゃんと来てね…私、メイドだから」

「……分かったよ」


美優の真っ直ぐな目に、俺も返事をした。



別に誰がメイドをやろうが、どうでもいい。



「美優…っ」


「葉凪…あんたは二度と中庭に来ないで…私たちの邪魔をしないで」

「っっ……」


葉凪…お前は邪魔なんかじゃ―――

「利琥、行こう?」


「葉凪…」


「いいから行こうよ!」




俺は無理矢理、美優に連れられ中庭に向かっていた。



「利琥…私がメイドじゃ、だめなのかな」

美優が泣きそうな目で見てくる。


「…何で?」




「だって利琥…葉凪のことばっかり見てる…っ!」


妬かれても迷惑なんだけど。



「…あぁ、そうだな…俺は「言わないで」え、」


美優は甘い声で俺の言葉を遮ると、唇を重ねてきた。

「…っ、ん」



別に、何も感じない。




「利琥、好き……」