イジワルな恋人



あたしの言葉に、亮が苦笑いを浮かべる。

そして、あたしのお弁当箱からとったサンドウィッチを口に放り込んだ。


「……ねぇ、おいしい?」

「ああ。……なんで?」

「んー……亮お金持ちだし、あたしが作るようなモノとかって口に合うのかなって。

何も聞かないで亮の分まで作ってきちゃってるけど……。

無理させてたら悪いなって思って」


あまりお昼ご飯を食べない亮のために、最近では二人分のお弁当を持ってくるようにしてるけど……

本当は迷惑だったりしてたら悪いし。


あたしが少し気遣いながら聞くと、亮は何事もないように答える。


「別に。俺最初から金持ちな訳じゃねぇし。

親父の愛人の子供なんだけど、俺が10歳の時に親父に引き取られたから」

「……」


自分だって聞かれたくない事情があるくせに、それを亮には平気で聞いてしまって。

返ってきた答えに落ち込んでしまう。


自分の無神経さに反省している時、亮の軽い笑い声が聞こえた。


「なに落ち込んでんだよ。

俺が言いたかったのは、弁当いつも通り作ってこいって事だけだろ」


あたしを気遣ってくれた亮の言葉に、あたしも笑顔になる。


「うん、もちろん」