イジワルな恋人



「……大人しくしてれば斎藤だけですんだのに。

あんたのせいだからね」


不審な笑みを浮かべる萩原先輩に、意味が分からなくて顔を歪める。


「あんたが合気道できるくらい知ってんだよ。

まぁ……可哀想だけど自業自得ってやつ?」


萩原先輩の合図に、旧校舎脇から数人の男が出てきて……状況をみるなり薄気味悪く笑った。

その光景に頭が真っ白になる。

……っ!

この人数じゃ……、多分適わない……。


「この人達、みんなあんたが振った男。

覚えてないかー。モテるもんねー。

あんたなんか外見だけなのに、まだ諦めきれないんだってー」


萩原先輩の言葉に、歯をきつく食いしばる。

くやしい……っ、けどどうすれば……っ。

逃げ道を探しながら睨みつけるしか出来ないあたしを、男達が取り囲んだ。


「……っ!」


一人に後ろから羽交い絞めにされて、身体がすくむ。

男の腕の感触に、背中にあたる身体の感触に、気持ちが悪くて鳥肌がたつ。