イジワルな恋人



終了のチャイムが鳴るのを聞いてから、車から降りる。

そして、校門に寄りかかりながら出てくる生徒の中に奈緒を探した。

俺の前を通り過ぎる生徒は、不自然なほど静かで、決して目を合わせようとはしなかった。


10分待っても、奈緒が校舎からでてくる気配はなかった。

……今日はバイトだって言ってたよな。

すぐ帰るって言ってた奈緒がまだ出てこないっていう事は……。


的中しそうな考えに、奈緒の教室に向かって歩き出す。

その間もすれ違う生徒の中に奈緒の姿を探したけど、やっぱり見当たらなくて。

……何かあったのか?


嫌な予感に、いつの間にか走り出していた。